ミステリーアドベンチャーゲーム・Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)の考察を、連載形式でやっています。
#1は第1章「崩れた積荷」で、積荷が崩れた原因などをメインに考察。
まるでオブラ・ディン号の行く末を暗示するかのような、出航してすぐの不運な事故…、は本当にただの事故だったんでしょうか?
時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから東方に向けて出港した。その6か月後、同船は予定されていた喜望峰への到達を果たさず、消息不明扱いとなった。 そして今日、1807年10月14日早朝のこと。オブラ・ディン号は突然、ファルマス港に姿を現す。帆は損傷し、船員の姿も見えない。これを受け、東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官が、ただちにファルマス港に派遣された。同船内を直接調べ、損害査定書を作成するために――。 「Return of the Obra Dinn」は、探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲームである。
Nintendo Switch|ダウンロード購入|Return of the Obra Dinn
第1章「崩れた積荷」の人物考察ガイドもあわせてどうぞ。

Contents
【考察】積荷が崩れた原因

それでは、積荷が崩れた原因を考察していきましょう。
まず直接的な原因は、昇降機のロープが切れたことで間違いないと思われる。ラーズ・リンデもそう言ってるし。
じゃあなぜ、ロープは切れちゃったんでしょうねぇ。
ロープが経年劣化で痛んでいた説
まずは一番ありがちな説を考えてみる。
重い荷物を上げ下げする昇降機、長いこと使っていれば、経年劣化することは間違いない。もちろん、ロープもね。
ただ、このオブラ・ディン号での事故については、経年劣化説はほぼありえない、と考えております。
オブラ・ディン号は6ヶ月の航海を予定していた

オブラ・ディン号はイギリス・ロンドンから南アフリカの喜望峰まで、6ヶ月の航海を予定していた。なかなかの長旅である。
そんな長旅の前に、経年劣化した昇降機のロープをそのまま放置して出航するだろうか?
この時代の航海がどれくらいしっかり船の整備をしていたか分からないけど、長旅の前はそれなりにしっかりチェックすると思うんだよね。
積荷の事故は出航後すぐ起こった
船の整備と関連してもうひとつ。
この積荷の事故は、ロンドンを出航してすぐの地点で起こっている。まだイギリスの近くを漂っているころなので、船の状態もかなり万全だったはずだ。

そんな状態で積荷が崩れる事故、しかもロープの経年劣化で?
もし本当にロープの経年劣化なら、お前らどんだけずさんな状態で航海してるんだよ、とツッコミをいれたい。
いろいろな点を考慮した結果、昇降機のロープ経年劣化説はほぼほぼないのでは?と考えております。
性悪な面もあったサルがロープにいたずらをした説
つづきまして、ちょっと突拍子もない説。
サルというのはヘンリー・エバンズ医師の連れていたペットで、最期は医師の探求欲の犠牲となった。

このサルの説明文に、ちょっと腑に落ちない点がある。

人懐こいはまぁ、医師の肩に乗るくらい懐いているのでよしとしよう。問題は性悪な面もあったである。
性悪とは、性格が悪いという意味なので、このサルに当てはめるならイタズラ好きのやんちゃサルというニュアンスだろうか。
動物なのでそんな面もあるだろうなとは思えるが、このサル、基本的にエバンズ医師と一緒にいるか、他の家畜とたわむれているかなので、ストーリーを見た限りではまったく性悪な面が伝わってこない。
それなのにわざわざ、性悪な面もあった、と書く怪しさよ。
そこでこの積荷の事故と結びつけた結論が、性悪なサルが昇降機のロープにイタズラをしていたため、積荷が崩れた説。
ただしこの説、根拠は性悪なというワードだけ。第1章にサルがいる気配はないし、完全に憶測です。
密航者が積荷にまぎれていたため重量オーバーした説
最後は、わたしが現状一番納得している仮説。
崩れた積荷の事故はイレギュラーな事故だった。それと同じく、第1章には本来なら存在しえないイレギュラーな存在がいた。

タルにまぎれていた密航者である。
密航者がまぎれこんだタルには、もともと大して重くない荷物がはいっていたと思われる。
まぎれこむにはもとの荷物を出して自分が入らないといけないから、わざわざ重い荷物のタルを選んで、重い荷物を出す、なんてことはしないはず。人の目を忍ばないといけないから、サッと済ませたいだろうし。
結果的にタルが想定していた重量より重くなってしまい、それを昇降機に積んだことで重量オーバー、ロープが耐えきれず切れてしまいました、というてん末。けっこうマトを得ている気がする、と自画自賛。
事故のあと、密航者がまぎれこんだタルは、誰にも気づかれることなく倉庫へ。密航としては大成功だったようだ。
ちなみにこのタルがあったのは甲板長用倉庫である。きっと甲板仕事で使う道具か、甲板長の私物が入っていたと思われる。

【考察】なぜネイサンは、兄貴を殺したのがデンマーク野郎だと思ったのか
崩れた積荷の事故に深く関連しているのが、このふたり。

積荷の事故で死亡したサミュエル・ピーターズの弟、ネイサン・ピーターズと、デンマーク野郎のラーズ・リンデである。
第7章[破滅]で、ネイサンは「兄貴を殺したのはお前だ!もうがまんならねぇ!」と言って、ラーズ・リンデを撲殺。
積荷の事故は明らかに事故だし、近くで見ていたアレクサンダー・ブースもそう証言している。にもかかわらず、なぜネイサンはラーズ・リンデが殺したと思ったのだろうか。
もう一度崩れた積荷のシーンをチェックしてみると…。

Oh、No〜な顔をして手を伸ばすラーズ・リンデと、それを上から見ているネイサン。
ロープが切れたのはちょうどラーズ・リンデがいる位置と考えると、上から見ていたネイサンには、ラーズ・リンデがやらかしたように見えたんではないだろうか。
先ほどの密航者が積荷にまぎれていたため重量オーバーした説とあわせて考察すると、ラーズ・リンデが密航者入りタルを昇降機に積んだのか?とも考えたけど、ラーズのいる位置と密航者入りタルは反対側なので、それはなさそうだった。

ラーズ・リンデの人物考察ガイドにも書いたが、ネイサンとラーズ・リンデは同じ甲板員ということもあってか、結構一緒にいるシーンが多い。名簿番号もならびだし、ハンモックもおとなり。
近くで見てるがゆえに、ネイサンはラーズ・リンデがサミュエルのことをまったく気にかけていないそぶりが、余計に気に障ったんだろうか。


Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしよう!
この記事を読んで気になった方は、ぜひReturn of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしてみてください。
できればこの記事のことは忘れて、新鮮な気持ちでいちからプレイしてほしい(矛盾)。