ミステリーアドベンチャーゲーム・Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)の考察を、連載形式でやっています。
#4はオブラ・ディン号の帰還で大きな謎のひとつである、箱について考察します。
魔物よ!ベン!箱は!?
時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから東方に向けて出港した。その6か月後、同船は予定されていた喜望峰への到達を果たさず、消息不明扱いとなった。 そして今日、1807年10月14日早朝のこと。オブラ・ディン号は突然、ファルマス港に姿を現す。帆は損傷し、船員の姿も見えない。これを受け、東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官が、ただちにファルマス港に派遣された。同船内を直接調べ、損害査定書を作成するために――。 「Return of the Obra Dinn」は、探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲームである。
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Contents
【考察】フォルモサ人にとっての「箱」
「あの箱は、絶対に海に落としてはダメよ。」
まずは「箱」の正体を知っているであろうフォルモサの王族、リムさまとイトベンのやりとりについて考えてみる。


このやりとりでちょっと気になることが。
リムさまとイトベンって、おもに箱と魔物の話しかしてないんだよね。貝殻については一切ノータッチ。
つまり彼らにとって、貝殻<<<箱のようだ。
クソのニコルズは貝殻を見て強奪計画を決行したっぽいけど、貝殻はそこまで大事なものではなかったのかな…?
「貝殻を守らねば…!我々は皆死ぬ!」
唯一、貝殻について言及しているフォルモサ人が、タン・チョウさん。

彼は逆に、怪物と箱のことを聞かれて、貝殻のことをしゃべっている。リムさま&イトベンとは真逆の言動だ。
しかも「貝殻を守らねば…!」って言ってるのも気になる。あくまで結果論ではあるんだけど、貝殻を怪物から取り上げて守った結果、オブラ・ディン号は全滅、4年も行方不明となってしまった。大人しく怪物に貝殻をかえして解放してあげれば、あんなことにはならなかったはずだ。
ということは、タンさんの「貝殻を守らねば…!我々は皆死ぬ!」という発言は、ある意味ウソだったということになる。
タン・チョウ、真相を知らされていない説
以上をふまえてひとつの仮説。
タン・チョウさんも、実は箱や怪物について、大したことを知らなかったんではなかろうか??
スケッチではフォルモサの王族とひとくくりにされているけど、彼とラウ・ホクセンは明らかに王族の護衛といったいでたちである。

そりゃ王族の人は、たんなるしたっぱ護衛にヤバイ箱の秘密なんかホイホイ教えないでしょ。
なのでタンさんも、リムさまやイトベンから「貝殻と箱は守らないと殺されるわよ(むしろ殺す)」くらいの、まるで脅しな説明しか聞かされていなかった可能性が高い。
結果的に、「貝殻を守らねば…!我々は皆死ぬ!」というタンさんのいまわの言葉を、船長が信じたのだとしたら…。オブラ・ディン号の運命はそこで決まったにちがいない。
【考察】イトベン謎の行動
お次はイトベンの謎の行動について。
ボートの上で怪物に襲われたニコルズ一行。そのときイトベンがとった行動がこちら。
- 縛られていた縄をほどく
- サミュエル・ギャリガン(二等航海士付き司厨手)を殺害
- 箱に手を突っ込んで、怪物を無力化
- 手がなくなって死亡
うーん、なにがなんだかって感じだよねぇ…。
「ここに、ございます!お待ちください、ただ今…」
謎解く鍵は、イトベンが箱に手を突っ込む前のこのセリフにあると思う。

「ここに、ございます!」とは、どこに、なにがあるのだろうか。
ここに、というのは、あの箱で問題ないと思う。では箱の中にあるものとはなんだろう。
貝殻がない!?
あの箱の中にあるもの、といったらあの貝殻なんだけど、ちょっとこのシーンよく見てほしい。

あれ、貝殻ない!?
そう、よく見ると貝殻はないのだ。なんかそれっぽいカタチはしているけど、あの貝の巻き貝っぽいフォルムが一切見受けられない。
それにニコルズが盗み見たときと違って、特有の光ってる描写もないんだよね。

怪物3匹のうち、2匹が持ってる貝殻は光っているし。

だからおそらく、このとき箱の貝殻はすでにない、のだと思う。
となると、イトベンは一体なにを探していたんでしょうね。
だれに向けてしゃべっていたのか
もうひとつ気になることがある。「ここに、ございます!お待ちください、ただ今…」というセリフは、一体だれに向けられたものなんだろうか。
順当に考えるとリムさまだよね。前のシーンでリムさまが「助けて!」と叫んでいるので、それを聞いたイトベンが無茶をしている展開。

しかし、リムさまに向けて言ったのだとすると、少し違和感がある。
「ここに、ございます!」がなんであったにせよ、リムさまにわざわざ報告する必要あるかな?だってリムさまは明らかに、それがそこにあることを知ってるはずなんだよね。箱の持ち主だから。
じゃあイトベンは、だれにしゃべっているんだろう。
ここでちょっと視点を変えて、わたしは怪物にしゃべっているんではないかと考えてみた。
根拠はふたつ。ひとつはさきほどの、「ここに、ございます!」報告。怪物に言ってるんだとすれば、わざわざ報告しているのも納得いく。おそらく、怪物が欲しがっているものだろう。
もうひとつは、イトベンにせまる怪物の位置である。
ギャリガンを刺したとき、怪物はもうボートに手をかけていて、いまにもイトベンの足につかみかかりそうな勢いだった。

ところが次のシーンで、怪物はちょっとボートから離れたところでもだえ苦しんでいる。

謎のパワーがあまりに強大でのけぞっちゃった説はあるけど、イトベンがギャリガンを刺し、箱を開けて手を突っ込むまでって結構間があるんだよね。
あれだけ近くにせまりながら、怪物がなにもせず大人しく待ってたのは「お待ちください、ただ今…」と言われたから。そんな気がしなくもないのよね。
【追記】「ここに、ございます!」について、コメントいただきました。
イトベンの「ここにございます」は、(少々タイムラグはありますが)リム様の「箱は!?」に掛かってると思ってプレイしていましたね
たしかに、これは大いにありそう。タイムラグはちょっと気になるけど、このゲームつきつめると時間軸どうなってるの?っていうシーンは多数あるからね。
コメントくださったまいまいさん、ありがとうございます!
【結論】あの箱の正体
いろいろと考えてみましたが、いちばん筋のとおったあの箱の正体はこちらです。
箱の上部にある水銀枯山水の奥底に貝殻を突っ込むことで、怪物を無力化できる不思議な箱
不思議な箱であることには変わりないけど。以下解説です。
引き出しの貝殻はイトベンが取り出した
イトベンが箱に手を突っ込んだとき、引き出しに貝殻がない点については、やはりイトベンが引き出しから取り出した、と考えるのが自然だろう。
「ここに、ございます!」もたぶん大した意味はなくて、貝殻ちゃんとあります!っていうのを、リムさまに、ひいてはちょっとパニックになってる自分に、言い聞かせたんだと思う。
箱+貝殻のセットで怪物を無力化
ではなぜ、イトベンが引き出しから貝殻を取り出したかというと、怪物を無力化してリムさまを助けるため、である。
おそらく、あの怪物を無力化する謎のパワーを引き出すには、箱の上部にある水銀枯山水に貝殻を突っ込む、という行為が不可欠なんだと思う。
箱だけでも意味ないし、貝殻だけでも意味ない。セットでパワーを発揮するシロモノだね。

そして怪物を無力化するには、水銀枯山水の奥底までぐいっと貝殻を押し込む必要がありそうだ。
貝殻を水銀枯山水に入れるだけで怪物を無力化できるならば、ポチャンと落とせば問題ないはずだ。しかしイトベンは危険を犯して、わざわざ手を突っ込んでいる。おそらくそれしかやりようがなかったんだろう。
イトベンがどこまで箱について知っていたかは知りようがないけど、おそらく自分が無事でいられる可能性はないと分かった上で、リムさまのために決死の行動をしたんだろうなぁと思う。泣ける。
横ではクズが、保身のために真逆の行動をとっているがな!!!

【追記】イトベン貝殻押し込んでいる説について、コメントいただきました。
イトベンにズームして輪郭をよく見ると、ちゃんと貝殻が握られていることがわかったりします。

ほんまや〜!!やっぱり貝殼がトリガーだったのね。
コメントくださった門大寺さん、ありがとうございます!
いろいろ書いた結果、不思議な箱という結論が拭えなくて申し訳ありません。フォルモサ(台湾)にこういった箱にまつわる伝説があるのか、などを調べていたら収拾がつかなくなってしまいました(あと、いつまで経っても記事が書けない)。また何か分かったら追記します。
Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしよう!
この記事を読んで気になった方は、ぜひReturn of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしてみてください。
できればこの記事のことは忘れて、新鮮な気持ちでいちからプレイしてほしい(矛盾)。
最近クリアしたので考察見たくて検索でたどり着きました。
リサさんの考察記事とても好きです!
画像付きで見やすいし振り返れて楽しいです( ੭ ・ᴗ・ )੭
キャラ解説も面白かったです!
また続きの考察楽しみにしてます
クリアおめでとうございます!!✨
そしてお褒めの言葉の数々…とても嬉しいです、ありがとうございます😭
特に画像はいろいろとこだわってるので、作ったかいがあります!
オブラディン関連の記事はまだまだ書きたいことがたくさんあるので
ゆるりとお付き合いいただければと思います。
またぜひ遊びにきていただけると嬉しいです☺️
前回の更新時に発見して密かに更新を待っていた者です。
オブラディンは自分でもたくさん考えるゲームなので他人の考察を読むのが面白いですね
イトベンの「ここにございます」は、(少々タイムラグはありますが)リム様の「箱は!?」に掛かってると思ってプレイしていましたね
そういう解釈もあるのか〜という感じです(笑)
次回も楽しみにしています^ ^
コメントありがとうございます!
>イトベンの「ここにございます」は、(少々タイムラグはありますが)リム様の「箱は!?」に掛かってると思ってプレイしていましたね
なるほど!逆にわたしはこの発想がありませんでした。(タイムラグがあるので結びつける思考がなかった…)
あのときボートの上は大混乱だったので、多少タイムラグがあってもおかしくはないと思います。
わたしも他の方の考察読むのが大好きなので、考察コメントいただけるととても嬉しいです☺️
またぜひ遊びにきてくださいませ〜🎶
イトベンが箱に手を突っ込んだシーン。
イトベンにズームして輪郭をよく見ると、ちゃんと貝殻が握られていることがわかったりします。
なるほど…。あのシーン、イトベンにズームする意識があまりなかったですw
のちほど確認させていただきます!