考察

#7(END)【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) ヘンリー・エバンズと性悪な猿

Return of the Obra Dinnアイキャッチ7

ミステリーアドベンチャーゲーム・Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)の考察を、連載形式でやっています。今回で最終回です。

最後はあの手記と時計をよこしたヘンリー・エバンズ医師と、彼のペットのサルについて考察していきます。

時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから東方に向けて出港した。その6か月後、同船は予定されていた喜望峰への到達を果たさず、消息不明扱いとなった。 そして今日、1807年10月14日早朝のこと。オブラ・ディン号は突然、ファルマス港に姿を現す。帆は損傷し、船員の姿も見えない。これを受け、東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官が、ただちにファルマス港に派遣された。同船内を直接調べ、損害査定書を作成するために――。 「Return of the Obra Dinn」は、探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲームである。

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ヘンリー・エバンズについて

基本情報

ヘンリー・エバンズ

ヘンリー・エバンズはオブラ・ディン号の船医。診療所で病人の診察をしたり、ストーリー中盤からやたらと増える死人・ケガ人のもとにカバンを持ってあらわれたりする。

プレイヤーに手記と死の瞬間が見える懐中時計メメント・モーテムを送ってよこした張本人であり、オブラ・ディン号の数少ない生存者。手記の序文にはエバンズ医師の署名があり、彼が現在モロッコにいることがうかがえる。

船上での足取り

意外と登場回数が多いので、章ごとにかいつまんで足取りをおさらい。

第2章[死に至る病]

レンフレッド・ラージューブ_死亡

初登場は第2章その2。医師らしく診療所で診察中。

真面目に診察するエバンズ医師とは対照的に、超態度のデカイ助手のウォレスがやたらと気になる。

まぁ次のその3で診療所のベッド片付けてるのがウォレスだから、ウォレスが助手なんだろうと分かる。

第5章[呪われた獲物]

ヘンリー・エバンズ_5章

次の登場は第5章。帰ってきたニコルズとフォルモサの王族を検死している最中、どんどん増える犠牲者。

たぶんいろいろと追いついていない。

第6章[海の兵たち]

ヘンリー・エバンズ_6章

カニ戦士襲撃シーンにも登場。剣を持って応戦しようとしている様子がうかがえる。

その後家畜番のオファレルさんを助けようとするが、死んだことを悟ったのか諦めた。

第8章[取引]

ヘンリー・エバンズ_8章

謎につつまれた第8章。脱出の直前、サルを撃ち殺す。

第9章[脱出]

ヘンリー・エバンズ_9章

乗客のご婦人たちとボートで脱出しようとするシーン。これを最後に、エバンズ医師は失踪扱いとなる。

【考察】ヘンリー・エバンズが伏せたかったこと

オブラ・ディン号の帰還_序文

ヘンリー・エバンズは序文の最後に、「取引」の内容を今は他者の目にさらす時ではないと判断し、伏せさせてもらうと記している。

その言葉どおり、取引の内容はオブラ・ディン号を調査している段階では知ることができない上、取引以外で調査可能な58人の身元・死因を特定しないと教えてもらえない。

では、エバンズ医師がそこまでして伏せたかったこととは、一体なんだったのかを考察します。

第8章[取引]のできごと

オブラ・ディン号の帰還_8章

まずは第8章[取引]で起こったできごとをおさらい。エバンズ医師が伏せたかったことも、この中にあるからね。

  1. フィリップ・ダール(船長付き司厨手)が箱に手を突っ込み死亡
  2. ロバート・ウィッテレル(船長)、クラーケンがやってきたのは人魚のような怪物が原因だと思い、捕らえた3匹のうち2匹を殺害
  3. マーティン・ペロット(三等航海士)、ポール・モス(一等航海士付き司厨手)、デービー・ジェームズ(四等航海士付き司厨手)が残った1匹の人魚を逃がす。その際、人魚に貝殻を返し、船尾倉庫の扉は施錠、鍵は海に捨てられた。マーティン・ペロットが怪物のトゲで致命傷を負い死亡
  4. ヘンリー・エバンズ(船医)がペットのサルを船尾倉庫内に入れ、射殺

【伏せたい理由①】船長が怪物を殺害したこと

船長_怪物殺害

まずは船長が怪物を殺害したことを伏せたかったと考えてみる。

怪物の殺害は悪いことなのか

この説を考察するにあたってのポイントは、怪物を殺害したこと=他者の目にさらすべきでないことなのか、だと思う。

エバンズ医師が船長のことを伏せたかったのであれば、おそらく船長の怪物殺害があまりよくないことだと判断したからだよね。

そこでチェックしたいのが、最後に登場する損害査定書。この査定書には、全乗客・乗員の船内での行動をもとに、未払い賃金の支払いや罰金の徴収などの明細が記されている。

損害査定書_著しく勇敢な行動

そのうち何名かは、著しく勇敢な行動により報奨金をもらっている。この著しく勇敢な行動がなにかといえば、おそらく怪物に立ち向かって行ったことなのよね。

つまり船の安全を脅かす怪物を殺すことは、勇敢と称えられる行動なのだ。だから船長が怪物を殺害したことも、そこまで伏せるべき内容だとはちょっと考えにくい。捕らえた怪物を一方的に殺すのはどうなのよっていう気もするけどね。

船長の評価はすでに最低

仮に、エバンズ医師が船長の怪物殺害はよくないことだから伏せたかったとしよう。

しかし船長のこの所業を伏せたところで、船長の評価はすでに最低で、どうにも挽回しようがないのである。

損害査定書_ロバート・ウィッテレル

再び損害査定書。ロバート・ウィッテレル船長の項目をチェックすると、国王が遺産を没収という、誰より厳しい処罰を受けている。乗組員の殺害も最多の4だし、なにより船の責任者だからね。

ここに怪物殺害でさらに評価マイナスですと言われても、もはや下げようがないと言いますか。じゃあエバンズ医師はなぜ船長の怪物殺害を伏せたかったの?という話になってくる。

だからエバンズ医師が伏せたかったのは、船長の怪物殺害ではない、というのがわたしの結論です。

逆に、エバンズ医師は船長が怪物殺害で評価を上げられると、なにか都合が悪いことでもあったんでしょうかねぇ。きなくさい。

ちなみに船長の乗組員殺害数4って、ちょっと数合わないよね?

船長の殺害が確認できるのは、第10章のウィリアム・ホスカット、ヘンリー・ブレナン、ルイス・ウォーカーの3名。4っておかしくない?

いまのところ考えているのは、ラウ・ホクセンの処刑を命じたのが1としてカウントされているのか、はたまた自殺が自分を殺したという意味でカウントされているのか。うーむ。

【伏せたい理由②】マーティン・ペロットが怪物を逃がしたこと

オブラ・ディン号の帰還_怪物を逃す

じゃあ次に、船長とはまったく逆の行動をとったマーティン・ペロットのことを伏せたかったと考えてみよう。

まぁぶっちゃけ、伏せたかったのが船長のことではないと結論づけたから、エバンズ医師が真に伏せたかったであろうことはこれしかないんだけどね。

怪物を殺すことで評価を得られるとすれば、逃がすという行動はハタから見れば責められるべき案件だろう。

そして安否不明のマーティン、損害報告書では著しく勇敢な行動で報奨金をもらっている。怪物を逃がしたことが発覚すれば、この評価は確実に下がると思われる。

損害報告書_マーティン・ペロット

なにより、エバンズ医師は船長が怪物を殺害したことは知っていたかどうか不明だが、マーティンが怪物を逃がしたことは確実に知っていたはずだ。脱出前に船尾倉庫の様子を見にきたのがなによりの証拠である。

エバンズ医師が伏せたいと思うからには、伏せたい出来事の全貌を知っている必要がある。そういう意味でも、伏せたかったのはやはりマーティンが怪物を逃がしたことであろう。

【伏せたい理由③】フィリップ・ダールが死亡したこと

フィリップ・ダール死亡

これについては正直、伏せたかったこと当てはまらないかなと思います。

フィリップ・ダール死亡の際、現場に居合わせた者は誰もいないので、もちろんエバンズ医師も何が起こったのか知らない。

さきほどのマーティン説のくだりでも触れたけど、知らなければ、伏せたいと思う理由もないよね。ちょっと辻褄が合わなくなってくるので、フィリップ・ダールの死亡を伏せたかったというのはないと思います。

ひょっとしたらエバンズ医師はどこかのタイミングで船尾倉庫に入り、自らメメント・モーテムを使ってフィリップ・ダールの残留思念チェックをし、真相を知っていたのかも?という可能性はあるけどね。

【伏せたい理由④】自分がサルを殺害したこと

ヘンリー・エバンズ_猿殺害

最後はこれ。ヘンリー・エバンズは自分がペットのサルを殺害したことを伏せたかったのでは、と考えてみる。

調査を終え、サルの手が送られてきて、最初に見るシーンがこれ。

みなさん、正直どう思いました?わたしはえええええっ!?!?となりましたw

だってあんなにマトモそうな船医が、肩に乗るくらい懐いていたサルを、殺すの!?!?っていう、衝撃しかない。

しかもこの顔。びっくりするくらい真顔。怖えよ。

このシーンを見る前と、見た後では、ヘンリー・エバンズの印象ってかなり違ってくると思う。

一番伏せたかったのはおそらくマーティンのことだろうが、エバンズ医師としては、自分がサルを殺害したこの件も、あまり公にしたくはなかったのではなかろうか。

【考察】もしも船尾倉庫が施錠されていなかったら

マーティン・ペロット死亡

ヘンリー・エバンズがサルを殺害したのは、船尾倉庫内で起こった出来事を第三者に伝えるためである。

エバンズ医師が脱出前に船尾倉庫にやってきたとき、すでに倉庫は施錠されており、鍵もなかった。

メメント・モーテムがあれば死の残留思念から時間をたどれることを知っていたエバンズ医師は、鍵がないなら、死体を作ればいいじゃないというろくでもない思考でサルを撃ち殺した、という顛末。

ではもし、船尾倉庫が施錠されていない、または船尾倉庫の鍵があったとすれば、エバンズ医師はどうしたであろうか。

サルの殺害をしぶしぶやったことと考えると、まぁおそらく、マーティン・ペロットの死体の一部を拝借してたよね。医者だから死体の扱いにも慣れていただろうし。

そう考えると、やっぱりヘンリー・エバンズはどこかサイコパス的側面があるよなぁ。探究欲が倫理観を上回っちゃうんだもの。やはりタダモノではないと思う。



【考察】サルが性悪な理由

8-5_性悪な猿

第8章の全貌を知るトリガーとなるのが、エバンズ医師のサルである。

手記でサルのページをチェックすると、人懐こく、しかし性悪な面もあったペットのサルとある。

人懐こくはまぁ分からんでもないが、性悪という表現については疑問を抱くプレイヤーも多かったに違いない。なにせサルが性悪な様子がパッと見た限りないんだもの。

しかしわざわざ性悪と書くからには、なにか理由があるんじゃないのか。いろいろと考察した結果、とある説にたどりつきました。

エバンズ医師による殺害行為の正当化

オブラ・ディン号の帰還_猿

これまでの考察でもさんざん、崩れた積荷の原因はサルがロープをいじったからではないかとか、死に至る病の原因はサルが病原菌をもっていたからではないかとか、いろいろサルが性悪な理由を考えてみましたが、どれも推測の域を出ない。そしてイマイチしっくりこない。

いろいろと悩まされた結果、これはエバンズ医師が自身のサル殺害を正当化したいがために加えたワードではないか?という結論に至りました。

噛み砕いて言うと、このサルって性悪な面もあったから、人の探究欲の犠牲になっても問題ないよね?というニュアンスだと思ってます。

手記は誰が書いたのか

オブラ・ディン号の帰還_手記

おいおい、それじゃあまるでこの手記を書いたのがヘンリー・エバンズみたいじゃないか。プレイヤーこと調査官の涙ぐましい調査は一体なんだったんだ!

えー、これについてはですね、いろいろと考えた結果、手記はエバンズ医師が書いたのでは?という結論にいたりました。

オブラ・ディン号を調査していると、乗客・乗員以外の死体から調査をする必要があるよね。食肉として屠殺された牛とか、人知れず死んでいった密航者とか。そしてこの性悪な猿もしかり。

密航者

乗客・乗員ではない死体は、見つけるとすぐに手記に書き込まれる。推理する必要がないから、最初っから活字の状態やね。

オブラ・ディン号の帰還_序文

で、この活字の文字が手記の序文と同じであることから、活字の状態=ヘンリー・エバンズが書いたと考えています。

乗客・乗員についても、推理が正解するとメモ書きの手書き書体から活字に変わります。うーん、だからあれはつまり、プレイヤーこと調査官の推理と、すべてを知っているヘンリー・エバンズの見解とが一致したという意味なのかなと思います。

「健康状態の悪化が著しく、ごく大まかなあらましを書き記すのが精いっぱいだった」とエバンズ医師は言っていますが、それはプレイヤーの調査力を試すための嘘であって、本当はすべて書いた上で伏せていたのでは。メメント・モーテムの持ち主であり、船医という立場上、死体からの調査はいくらでもできたはずだからね。

8-5_性悪な猿

はい、では性悪な猿に話を戻すと、この文章に猿の飼い主であるエバンズ医師の主観が入っていると考えれば、性悪というワードも納得できる気がします。わたしが調査した限りでは猿の性悪具合は発見できなかったので、エバンズ医師が猿殺害を正当化するために意図的に加えたワードだとも思っています。

わたし、だいぶヘンリー・エバンズのことを悪者あつかいしてるなぁwだって食えないヤツだもんw

あとがき

オブラ・ディン号の帰還_タイトル

長いこと続けてきたこのオブラ・ディン号の帰還考察シリーズも、ひととおりわたしが書きたかったことは書けたので、今回で最終回となります。

初めてこのゲームのことを知ったのは、とある実況者さんの動画でした。そこから自分でも買ってプレイしたり、さらに他の実況動画を見たりしているうちに、いろんな考えが降って湧いて止まらなくなったので「よし、いっちょ自分の考察をブログに書こ!」と思い、考察シリーズをはじめることになりました。

最初のうちは章ごとに1記事で全10回を想定していたのですが、そのうちボリューム不足が否めない感じになってきたので、全7回でおさまることに。#3二等航海士とゆかいな仲間たちが他と比べて内容薄いのはそのせいです。スミマセン。

書いている途中にも、あーだこーだ考えが定まらなかったり、いい文章が浮かばなかったりと四苦八苦しましたが、たくさんのいいねやコメントでやる気をチャージし、なんとか完結までやり遂げることができました。これもひとえに読者のみなさんのおかげです、ありがとうございます。

正直、こんなに反応をいただけるとは思っていなかったので、嬉しい反面ちょっぴり照れくさい気もします(*´∀`*)ウヘヘ

オブラ・ディン号の帰還考察シリーズは今回で終了となりますが、このゲームには魅力ある人物がたくさんいますので、今後はニコルズやらかし事案集のような、キャラ解説シリーズをぼちぼちとやっていく予定でおります。よろしければまた遊びにきていただけると嬉しいです♪

あ、あとこのブログで、オブラ・ディン号キャラクター人気投票なんかもやりたいと思ってます!純粋に誰が人気なのかを知りたい…!

ちょっと長くなりましたが、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!また別なゲームの小部屋でお会いしましょう!



Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしよう!

この記事を読んで気になった方は、ぜひReturn of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をプレイしてみてください。

できればこの記事のことは忘れて、新鮮な気持ちでいちからプレイしてほしい(矛盾)。

POSTED COMMENT

  1. みかん より:

    最終回お疲れ様です!
    毎回の更新とっても楽しみにしてました!
    とても読み応えのある考察でもう終わってしまったのが切ないです…
    また1から読み返したいと思います!
    登場人物も多いですからね、キャラ解説も楽しみに待ってます!

    • r1sa より:

      コメントありがとうございます!
      みかんさんも、長いことお付き合いいただきありがとうございました…😭
      (たしか連載当初にもコメントいただいていたような…もし違っていたらすみません!)

      オブラ・ディン以外にもいろいろ書きたいゲームの考察があるので、キャラ解説は後回しになっちゃうとは思いますが
      また遊びにきていただけると嬉しいです😆

  2. cos より:

    剣で右足を切断されたジョン・ネーブルスの足が何故か船倉横の隅っこに移動してますが(「これなら大したことは…おや?右足はどこだ?」の場面)、これが猿の仕業だという説もあります。足を縫合すればまだ助かった可能性があったのにみすみす死なせたのは猿の悪戯のせいという見方もでき、「性悪」というのもそのあたりで納得できます。

    • r1sa より:

      はじめまして、コメントありがとうございます!

      わたしもその説は聞いたことがありますね!
      右足だけ別な場所にあったことの説明もつきますし、的を得た説だと思います。
      (わたし発案ではないので、記事にはあえて書きませんでした…)

      ひとつ疑問があるとすれば、猿が人の足を運べるのかっていうところですかね〜。
      あきらかに猿の身の丈より人の足の方がデカそうだし…。意外と力あるのかなぁ。

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